子どもが描いた絵をNFTとして販売することは、今では珍しいことではないですよね。でも、前例がほとんどなかった時期に道を切り拓き、NFTアーティスト「チビ画伯」を誕生させたのが、母であるチビ画伯ママ(@Artist7yChibi)です。
チビ画伯のNFTは大人気で、出品した作品は完売。二次流通も発生しています。チビ画伯ママ自身も、Ninja DAOの初心者サポートなどで活躍し、今やDAOに欠かせない存在です。
そこで今回は、チビ画伯ママに子どものNFTを始めたきっかけ、チビ画伯が誕生したエピソードなどを詳しくお聞きしました。特に子どもの作品販売に興味がある方は参考になるはずです!
この記事でわかること
- チビ画伯を誕生させた行動力
- 子どもの才能を伸ばす秘訣
- 子どものNFT活動との向き合い方
- チビ画伯の軌跡と今後
チビ画伯ママ(@Artist7yChibi)
8歳のNFTアーティスト「チビ画伯」のママ。CryptoNinja#006於兎(オト)ホルダー。Ninja DAOアドミニストレーターとして、DAO内のコミュニケーションを積極的にサポートしている。DAOで頻繁に見かけるがBotではない。
OpenSea開設、NFTリスト、エアドロップ。即行動でつかんだチャンス
本企画、初めての女性インタビュイーの登場です!ではチビ画伯ママ、まずは自己紹介をお願いします。
NFTアーティストをしている8歳の娘「チビ画伯」の母です。娘のコレクションを運用してきた経験を生かして、Ninja DAO内で初心者の質問に答えたり、Twitterで情報発信をしたりしています。今は夫の海外勤務に付いていって、アメリカに住んでいます。
チビ画伯ママはこの業界にさっそうと現れた印象があるんですが、どんなお仕事をされているんですか?
ざっくりいうと人事全般ですね。今は第二子の育児休暇中です。
あぁなるほど、すごく納得できました!チビ画伯ママはいつもDAO内のコミュニケーションを円滑にしてくれていますが、それも人の気持ちを考えて接する人事の経験が生きているんですね。
そうですね、生かせていることがたくさんあると思います。
チビ画伯のコレクションのマーケティングも担っているということですが、もともとSNSに詳しかったんですか?
いえいえ、超初心者でしたよ。今、Twitterを始めて1年くらいだと思います。本当にほそぼそとやっていましたね。
でもSNSをやっていなかったとすると、最初はどこからNFTやWeb3の情報を得たんですか?
ずっと前からイケハヤ(@IHayato)さんのブログを読んでいたんです。それに影響されて、副業をやったり、ブログを書いたり、Kindle出版をしたり、いろんなことに挑戦してきました。
するとある日、イケハヤさんがVoicyで「NFTは個人でも販売できます」という話をされたんです。それでその日のうちにOpenSeaのアカウントを開設して、子どもの作品を出品しました。
すごい行動力ですね。1年前というとNFTは世間では全然知られていなかったはずだし、今でもNFTを始める前の、メタマスクのウォレットを作るところで心が折れてしまう人も多いのに。
実はメタマスクのウォレットは2017年5月くらいに作っていたんです。大河内先生もそのころに作ったんじゃないですか?
おっしゃるとおりです!仮想通貨バブルのころですよね。そっか、僕たち“同級生”なんですね(笑)。
つまり、もともと仮想通貨を持っていて、NFTもなんとなく理解できた。だからスムーズにスタートが切れたんですね。
そういうことです。イケハヤさんにまんまとあおられて(笑)。
イケハヤさんのあおりは、芸風ですからね(笑)。でも、そのあおりにスピード良く乗ると、結果が出ることも多い。その筆頭がチビ画伯とチビ画伯ママなんですね。
うまくいった理由を考えてみると、エアドロップも大きかったと思います。今でこそエアドロップって珍しくないですが、1年前はやっている人はほとんどいなかったんです。
私はエアドロップのやり方を知ってすぐ、イケハヤさんにチビ画伯の作品を送ったんですが、それに気づいたイケハヤさんが、作品を3つも買ってくれたんです!しかもVoicyで紹介までしてくれて……!
ありましたね〜、イケハヤさんにいろんなクリエイターがエアドロップしまくった時期が。それを初期のころにやったんですね。
一週間遅かったら、きっとイケハヤさんの目には留まらなかったと思います。本当にタイミングが良かったんです。今、当時と同じやり方をしても、同じ結果にはならないと思います。
ほんとチビ画伯ママのスピーディーで圧倒的な行動力には驚かされます。
Ninja DAOは立ち上げ初日に参加。丁寧な初心者サポートでDAOに欠かせない存在に
チビ画伯ママは、かなり初期のころにNinja DAOに入っていますよね?
DAOが立ち上がったその日に入っていると思います。書き込みをしたのも10人目くらいだった気が……。
!!!最速ですね。
当時、すでにCryptoNinja#006の「於兎(オト)」を持っていたので、すぐに認知してもらえて、ロールも付与してもらいました。
確か、チビ画伯のNFTの売上を使って、イケハヤさんに相場よりかなり安く売ってもらったんですよね。あれは粋な計らいでしたね。
そうなんです!0.09ETHでした。
イケハヤさんはVoicyで「このエピソードには意味がある」っておっしゃっていたんですよね。僕もよく覚えています。
DAOに入ってからはどんな活動をされたんですか?
最初はみんなとワイワイしていたんですが、すでにチビ画伯の作品をOpenSeaにも出品した経験があったので、自然と初心者さんの質問に答える役割になっていきました。当時はまだブログとかがあまりなくて、情報が少なかったんですよね。
今でも積極的に初心者さんのサポートをされていますよね。
でもNinja DAOも参加者が4万人を超えて、DAOに入ったもののなかなか書き込みができない人も多いと思います。そういう場合はどうしたらいいですか?
最初にあいさつをしたら、次は誰かの発言に返信したり質問してみたりするといいと思います。DAO内の書き込みを読んで、絡んでもやさしく返してくれそうな人を見つけるのがおすすめです。
それいいですね!自信につながりそうです。
DAO内は会話の流れが早いので、発言が流れちゃっても見えてないだけで無視しているわけではないので、めげないでほしいですね。
5歳だったチビ画伯の才能に気づき、自由に描ける環境を整備
今度はチビ画伯さんのことを教えてください。NFTを始めたのが1年前ということは、当時7歳ですよね。もともと絵を描くのが好きだったんですか?
とっても。本当に息をするように絵を描いていたんです。保育園のころから1日何十枚も絵を描くので、家にはよくある500枚入りのコピー用紙を常備して、色鉛筆や絵の具もいつでも使えるようにセットしていましたね。小学生になった今でも、学校から帰ったら描いています。
デジタルで描き始めたのはいつごろですか?
5歳だと思います。もともとデジタルでも絵を描けるように、iPad Proは買っていました。だから最初にNFTを出したのは7歳なんですが、その作品は5歳のころに描いたものなんです。
へぇ〜それは知らなかった!Ninja DAO内からの質問でもきているんですが、チビ画伯ママが「娘には絵の才能があるかも」と気づいたのもそのころですか?
そうです、それも5歳のときです。もともとよく絵は好きだったんですが、ある日、保育園で「ゲゲゲの鬼太郎」の絵を描いてきたんです。それがものすごいクオリティが高くて……!
保育園にゲゲゲの鬼太郎の本を置いていなかったので、記憶をたどって描いたんでしょうね。めちゃくちゃびっくりしました。
目の前にないものでも記憶で描けるって、絵が上手い人の典型ですね。
私には絶対できませんね。
あれ?僕は美術の成績は「2」だったんですが、もしかしてチビ画伯ママもこっち側ですか??
ふふふ、そっち側です(笑)。
iPadを使った絵の描き方はどうやって学んだんですか?
YouTubeですね。amity_sensei(@amity_sensei)とか有名イラストレーターの方の動画を一緒に見ています。あとCryptoNinjaを描いたリツ先生(@rii2_4)が出版されたプロクリエイトの本も参考にしています。
チビ画伯に芽生えたプロ意識。自由に描くことに葛藤も
チビ画伯本人は自分がNFTアーティストであるという自覚は持っているんですか?
プロ意識みたいなものは持ち始めたと感じますね。この間、チビ画伯がいつもと違って薄い色で絵を描いていたんです。「どうしてこの色で描いたの?」って聞いたら「下書きだよ。プロは下書きするんだよ」って(笑)。思わず笑ってしまったんですが、自分はプロのアーティストだと自覚しているんだ、ってうれしかったですね。
プロは下書きするだって、どこかで情報を仕入れてきたんでしょうね(笑)。
でもちょっと気になっていることがあるんです。アーティストってみんな最初はただ自由に楽しんで描いていたと思うんです。でも絵が売れるようになって、プロ意識が芽生えると、少しずつ窮屈になる。いつかチビ画伯もそんな葛藤を抱えるかもしれないって。
大人はそういう感情をなかなか表には出さないけど、子どもは純粋にそこを吐き出しそうな気がするんです。僕はそんなチビ画伯の様子をこっそり見てみたいですね。
でもすでに葛藤は抱え始めているかもしれません。昔はあまりなかったんですが、最近は描きかけのまま終わる絵も出てきていますから。
NFTアーティストとして「この絵じゃOpenSeaには出せないな」と思っているのかもしれませんね。
ちなみにパートナーさんは、Web3とかNFTの活動には理解はあるんですか?
応援はしてくれています。娘の絵が売れたと聞いたら、一緒に喜んでもくれます。でも興味はないみたい。
とはいえ、もし私に何かあったら保有する仮想通貨が闇に消えてしまうかもしれないので、万が一のときの連絡先として、イケハヤさんのメールアドレスやウォレットの秘密鍵は共有しています。
それめちゃくちゃ大事ですよね。僕も案件ごとの連絡先やウォレットアドレスは妻に伝えています。
相続GOXは怖いですからね〜(笑)。
「すごいね」ではなく意図を聞いてほめる。チビ画伯ママが子育てで大事にしていること
Ninja DAOから質問がきています。「子どもがNFTに興味を持ったら、親はどんなサポートをすればいいですか?」。
私は子どもがNFTで作品を作って売ってみたいと思っているなら、出品してあげたらいいと思います。
もちろん、売れない可能性もあります。でも「売れなかったら、親やおばあちゃんでそれを買おう」というスタンスでいいんじゃないでしょうか。私は売るための営業活動はたくさんしましたが、ダメだったら自分で買うつもりでした。
売買の経験をするって大事ですよね。僕も子どもへのお金の教育として、よく「メルカリ」をおすすめしています。
大体いい学びになるんですが、売れなくて「もう二度とやらない」って子どもが心を閉ざしちゃったケースもあるんです。だから売れなかったときの子どものケアもすごく大事だなって思います。
そんなことがあったんですね。子どもの性格にもよるかもしれませんが、売れないこともあるよ、というのは事前に伝えておいた方がいいかもしれませんね。
チビ画伯ママは子育てで大切にしていることってありますか?
いくつかあるんですが、特に大切にしているのは過程を褒めることですね。娘が絵を描いたときは、どんなところを工夫したのか、なぜこの表現にしたのかを尋ねています。そこで出てきた言葉を聞いて、それを褒めます。
どの表現も娘なりの意図があってやっているはずなので、ただ単に「上手だね」で終わらないように心がけています。
それって子ども相手だけじゃなくて、大人でも大事なことですね。僕はすぐに「すばらしい」「すごい」って言っちゃうんです。
でもあるとき知り合いに「『すごい』って言い過ぎるから、あなたの『すごい』には価値がない。『こんにちは』みたいなものだ」って言われて、確かにそうだなって(笑)。
だから大人相手の会話でも「すごい」ってただ言うだけじゃなくて、質問力を高めていろんな角度で話を聞いていきたいですね。
“ブロックチェーンネイティブ”のチビ画伯。振り回されても母は食らいつく
チビ画伯はNFTの仕組みとか、そもそも自分の作品がNFTとして売れているということは理解しているんですかね?
うーん、私もブロックチェーンとか、そこまでの詳しい説明はしていないんです。でも絵をインターネットで販売していること、たくさんの人が購入してくれていること、チビ画伯という名前を知ってくれていることは説明しています。
イーサリアムと法定通貨の関係は教えているんですか?
そこが難しいんですよね。一応、イーサリアムという通貨があって、あなたの絵はそれで購入されているんだよと、ざっくりとは伝えています。でも理解しているかどうかはわからないですね。
チビ画伯にとっては、イーサリアムも円やドルと同じ法定通貨の感覚なのかもしれないですね。
たぶんそうだと思います。
仮想通貨が当たり前にある世代か……末恐ろしいですね。彼女たちはデジタルネイティブなだけじゃなくて“ブロックチェーンネイティブ”というわけですね。ブロックチェーンネイティブであふれる世界ってどんな風になるんだろう、見てみたいなぁ。
今後、チビ画伯とチビ画伯ママはどんな風に活動していくんですか?
特にロードマップはないんです。気まぐれな子ども相手ですからね。チビ画伯がどんなことを考えているのか正直、私もよくわかりません。でも絵は描き続けていくと思うので、そこをサポートし続けるつもりです。
最近、二人で画像生成AIの「Midjourney(ミッドジャーニー)」にハマっているんです。課金もしちゃいました(笑)。チビ画伯の最新作は、ミッドジャーニーで作った背景にチビ画伯の絵を合体させています。この融合は今後もトライしていきたいですね。
ミッドジャーニーいいですよね!ついに絵が下手な僕でもすばらしいものが描ける日がきたんですよ(笑)。
チビ画伯の作品は一点物がメインですが、ジェネラティブを出す予定はあるんですか?
実は2022年3月に1000体を販売して完売させることはできたんです。でもプログラミングが必要で、私がやったんですがすっごく大変で……。
おぉ、チビ画伯ママにはそんなスキルもあるんですね!
超ド素人だったので、調べながらいろんな人に聞きながらやりました。ジェネラティブはやりたいとは思っています。でも今後どうなるかは、ほんとチビ画伯次第ですね。振り回されると思いますが、母は食らいついていきたいと思っています。
たくさんの子どもがNFTデビューするきっかけをつくったのはチビ画伯ママです。チビ画伯とチビ画伯ママがNFT業界で躍動してくれるのが楽しみで仕方ありません。今日はありがとうございました!